| 訓練規定外 「あでくる。H」〜訓練規定【裏】〜 まるで戯れのように始められた情事。 こうして誘うのはいつもクルーゼだ。 生真面目なアデスを半ばからかうように求めることが多い。 だが、時には何かに渇望する視線で求められることもある。 アデスは、彼が望むままにそれにつき合ってきたが、快楽や痛みの中に何かを見出そうとするかのような彼の視線に胸が痛むこともあった。 身体を繋げることで何かが得られるなら、戯れでも別に構わないと思っていた。 射撃場とトレーニングルーム、格闘技室に隣接されたシャワールームは男女別になっており、それぞれ十個のシャワーブースが並ぶ。その狭いブースの一つから響く水音。 水の流れる音にかき消されるかのように、口から漏れるため息にも似た声。 濡れた身体が触れ合い、湯の温度以上に温められた体温が心地よい。 アデスがクルーゼの胸の中心で赤く色付く果実を指で摘むように愛撫を施す。 立ち上がった突起が抱き合った肌越しに感じられた。 どちらかの部屋まで戻ろうと言ったアデスを半ば強引に、一般兵士も使用するシャワールームへ連れ込んだのはクルーゼだ。 アデスは、誰が入ってくるか分からないような場所で秘め事を始めるのは気が引けると言ったのだが、 耳元で熱いため息と共に囁かれた「待てない」という言葉に逆らえなかった。 今思えば、それらの媚態はすべて計算し尽くされているようにも感じられる。 まあ、これもいつものことと言えばいつものことだ。 クルーゼはアデスを困らせたり、戸惑わせたりするのを明らかに愉しんでいる。 それを分かってはいるのだが、理性と闘う気を起こさせないほどの微笑で誘われたら、すぐに白旗を振ってしまうのは男の悲しい性だ。 すがりつくようにアデスの首にまわされたクルーゼの白い腕。 濡れた唇が艶やかさを増す。 自らねだるように唇を寄せてきたクルーゼの口づけに応えながら、空いた手は彼の胸から脇腹へと滑る。 その感触にびくりと身体を震わせるクルーゼの下肢の中心を掴み、強弱をつけながら手を動かす。 「あ……ふ…っ」 先端を親指の腹で撫で、手のひら全体で包み込むように扱くと、水とは違う滑りを帯びた感触に張りつめた彼のものが限界に近いことを知る。 「…どうします?」 これくらいの意地悪は許されるだろうと、アデスはわざと手の動きを止めて、柔らかな耳を唇で挟み込むようにして耳元で囁く。 「そ…んなこと……っ、いちいち訊く……な、あっ…ん」 耳を喰む感触に言葉が途切れ、焦らされたクルーゼがアデスの手に自分の手を重ねる。 アデスは身体の位置を入れ替えて、自分の背を壁に預け、クルーゼを後ろから抱き寄せた。 身体を密着させるようにして、後ろからクルーゼの手ごと彼の昂りに愛撫を施す。 互いの手が先走りの液にまみれ、ぬめったように音を立てる。 「はっ…はあ………はぁ…あ…く……」 その音と声に気持が昂揚したのか、アデスのものも熱さと堅さを増し、クルーゼの後庭に当たるように存在を主張していた。 「ふ……っ」 息を詰めてクルーゼが熱情を吐き出す。白い滑りが二人の手を汚し、クルーゼが身体の力を抜きアデスに体重を預けると、アデスがうなじに唇を寄せる。 「時間は―――まだありますよね?」 「……当然だ」 振り向いたクルーゼがアデスの唇に音を立てて口づけた。 クルーゼが後ろ手にアデスの雄を掴み、自分の吐き出した白いぬめりを塗りつける。 アデスもまたぬめりを帯びた指でクルーゼの秘めた扉を開く。 中指を挿れ中の具合を確かめるようにゆっくりとほぐし始める。 節くれ立った指の関節がクルーゼの悦いところに当たるのか、身体をよじらせるようにして懊悩の声を上げる。 薬指を追加して、声が洩れる箇所を重点的に責め続けると、クルーゼが耐えられないといった表情でアデスを振り向き何事か言いかけたが、それもまた吐息だけの喘ぎに変わってしまった。 最終的に人差し指まで入れて、三本の指がクルーゼの中をかき乱す。 ゆっくりと慣らされた身体から抵抗力を取り去ってしまった。 「アデス…っ」 名を呼ばれて震える腰を押し上げた。 屹立したアデス自身をあてがい、突き刺した。 アアッと待ちわびていたような声が上がり、クルーゼの身体がアデスを受け入れる。 クルーゼが怒張の先端を受け入れると、すぐに身体ごと揺すられた。 その勢いで身体がぬるりと滑り屹立を奥まで呑み込んだ。 「うっ…く………ん」 自身の体重のせいで奥まで一気に埋め込まれた熱い楔にうめく。狭い室内に粘着質な水音が響く。羞恥を誘うかのような音に、いつしか色めいた声が混じる。 先ほど指で確かめた場所をこすり上げるように抜き差しされる楔に内壁がまとわりつく。 「あ…ン、あっ……は…はぁっ……ああっ」 もっと快楽を得ようと楔を締め付けるクルーゼだったが、アデスの突き上げが激しさを増し、自分が求める以上の痛みと悦楽に自然と腰が揺れる。 その姿に口元を緩めるアデス。 その時、ブースの外で声がして誰かが入ってきたことに気付いた。 人の気配に気付いていたはずだが、絶頂間際で声を堪えられないのか、堪えるつもりがないのか、クルーゼの口からひっきりなしに漏れる喘ぎを止めようと、アデスは手でとっさに口をふさぐ。 くぐもった悲鳴がアデスの手に遮られ、更に水音にかき消される。 二つ隣のブースから足音が聞こえ、「やっぱり、ここにあった」という声とともに足音が遠ざかる。 訓練を終えた兵士がシャワーブースに忘れ物を取りに来たらしい。 クルーゼの口をふさいだまま、腰の動きだけを速め、自らの熱を彼の奥へと叩きつけた。 最奥へ注がれる熱い迸りに、クルーゼの身体がびくびくと揺れ、彼もまた自らの白濁した液で床を汚した。 ◇ シャワーの湯と情交で上気したクルーゼの頬に冷たいタオルが押し当てられる。 脱衣所のベンチに腰掛けたままのクルーゼは、気持ちよさそうに目をつぶった。 「大丈夫ですか。火照りが冷めたら戻りましょう」 襟元を寛げたままの上官にアデスが苦笑する。 普段は禁欲的なまでにきちんと閉じられた襟元は、いまはしどけなく乱れ、半乾きの髪がまとわりつく。 襟元から覗く首筋がピンク色に染まり、なんとも艶めかしい。 自室に戻るまでの道程で誰とすれ違うか分からないし、クルーゼのこんな姿を部下たちに見せるわけにはいかない。 アデスは、誰も来ないことを確かめると、クルーゼの唇についばむようなキスを落とし、襟を正してやる。 「…暑い」 「部屋に戻るまで我慢してください」 それくらいできるでしょう?と幼子を諭すような口調でクルーゼを立ち上がらせる。 されるままに立ち上がったクルーゼは、ふわりと微笑みアデスの耳元に唇を寄せた。 「あともう一セットは?」 「えっ…!」 大胆なクルーゼのセリフに赤面し、これ以上は無理だと慌てて言いかけたが、目の前で口元を緩める上官の顔を見て、はたと気付く。 「―――訓練規定のことなのだが」 してやったりという顔でクルーゼが微笑む。 確かに速射の射撃訓練があと二十五発分残っていた。 ひっかかったと気付いたときには既に遅く、最後まで気紛れな上官に遊ばれたようだ。 「……もう充分です」 アデスはそう言って、深く嘆息する。 今後も規定外の訓練につき合わされることを覚悟した。 「訓練規定外」2005.0503 あでくる。9の付録「訓練規定外」です。「あでくる。9」に掲載の小説「訓練規定」のその後です。 おまけ本として配布したものです。 なんだか、「いちゃいちゃ度が足りない!」と思っておまけ小説を書いてしまいました。この当時の種デスでは、EDにクルーゼ隊長が初登場したり、うちの地方はまだ未放送だったのですが、ギルの回想に隊長が出てくるらしいとか…いろんな場面で隊長の姿が拝めて嬉しい限りです……という感じで、単純に隊長の再登場を喜んでいた頃でした。(その後19話でものすごく落ち込みました) 2クールのEDにアデスがいないことがショックで…新EDは、もちろん一時停止して隅から隅まで黒制服の人を探しましたよ!でも、アーサーしかいないし(苦)。レイと隊長のツーショットの左後ろに描き加えてやろうかとおもいましたよ! マジで。 そしたら、赤白黒が揃うのに!! とか思ったりしました。 |