| ※前置きもなくグラハムとダリルは恋人前提です。 ※他の作品とは全くリンクしていません。単品でお楽しみいただけると有り難いです。 ※18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。 ++ Nail clippers ++ ダリルがシャワーを浴びて出てくると、Tシャツにスウェットのズボンという恰好のグラハムが、ソファで片膝を抱えて何かに集中していた。 「何やってんスか?」 「何って、爪を切っている」 ダリルは、ハーフパンツに上半身裸で首に下げたタオルで髪をがしがし吹きながら、不思議そうに上官を見下ろした。 「だから、なんでそんなに変な風に身体曲げているんです?」 グラハムは、ソファに腰掛け片膝を抱えるように身体を変な具合にねじ曲げ、真剣な表情で自分の足の爪に挑んでいた。 「なかなかこいつがしぶとくてな。えい、この!」 左手に持った爪切りで右足の爪を切ろうとしているのだが、上手くいかないらしい。 「爪ヤスリとか使わないんですかい?」 「まどろっこしい!」 「ああ。そうですか……」 ダリルの疑問に受け答えしながらも、グラハムはおっかなびっくり作業を続けている。シャワーを浴びたばかりなのだろう、髪はまだ濡れていて、滴がシャツを濡らしていた。 「どれ、貸してみてください。見ちゃいられません」 「なんと! 手伝ってくれるのか」 「深爪して大事な足を怪我されるよかマシです」 「ああ、あれは痛いからな」 途端に顔をしかめた。過去の失敗による痛さを思い出したようだ。どうやら手つきが怪しいのは、深爪を恐れてのことだと思われた。 「今まで、どうしてたんですか?」 「何が?」 「爪ですよ。自分で何とか出来てたんですかい?」 「いや、カタギリにやってもらっていた」 案の定、その名前が出てきた。 ダリルは憮然としたが、仮にも今は恋人関係(?)にある男の前でぬけぬけと別の男の名を口にしたことにグラハムは気づいていないようだ。 ダリルはグラハムの隣に腰掛けると、白い足首を掴み、自分の膝の上に載せた。グラハムの足首はダリルの手の中にすっぽりと収まるくらいの細さだ。美しい曲線を描く脹ら脛には無駄な肉など無く、かといって固く隆々としているわけでもなく、ほどよい筋肉の付き方をしている。湯上がりのせいかソープの清潔な香りがして、ダリルはどぎまぎしてしまう。 「貸してください」 照れ隠しにグラハムの手から爪切りをやんわりと奪う。ダリルの大きな手がグラハムの素足を掴み寄せ、丁寧に刃を当てていく。パチン、パチンと小気味よい音がして、グラハムの足の爪がきれいに切られていく。 「ほう、他人の足なのに上手いものだな」 ダリルの指先を見つめたグラハムは、感心したようにため息をついた。余分な角はヤスリで削られ、きれいに仕上げてもらって、すっかりご機嫌の様子だ。 ダリルが横目でチラリと見れば、いつの間にかソファの背に凭れ気持ちよさそうに目を瞑っている。ダリルは、思わず頬をゆるませた。両足を終わらせるのに五分もかからないが、わざとゆっくりと仕上げることにした。 「隊長、終わりましたぜ?」 「うん……? ああ、ありがとう」 どうやら爪切りをダリルに任せてウトウトしていたようだ。 眠そうに目を擦り、グラハムが身体を起こそうとしたが、ダリルがそれを留める。 「大分、お疲れのようですな。ついでにマッサージでもどうですか?」 親指でグラハムの足の裏の土踏まずの部分を押さえた。 「あっ…」 びくりと震える身体と痛みを堪えるような小さな吐息にダリルは驚いて思わずグラハムの顔を覗き込む。グラハムは、すっかりマッサージを受けるモードなのか、何の動揺もなく目を閉じていた。 再びツボを押すようにすると、グラハムの口からまた声が洩れた。 「ん……っ」 (ヤベェ! まるでアノ時の声みたいだぜ) この声に煽られたのはダリルだ。急激に熱が身体に溜まっていく。 気持ちよさそうに吐息を洩らし、指圧を受けるグラハムの頬は僅かに紅潮している。ダリルを信じ切っている様子で、身体から力を抜いてすっかりダリルに任せている。 ダリルは、足指の股に指を差し入れ、親指から順番に付け根を揉みほぐす。 「ふぅ……く」 くすぐったいのか、気持ちがいいのか、グラハムは目を閉じたまま鼻から抜けるような声を洩らした。 (こんなに弱いんじゃ、いろいろ大変だ) 今まで意識したことはなかったが、足は敏感な場所のようだ。マッサージを受けるたびに、こんな声を上げているなら、勘違いしてソノ気になってしまう男がいるのではないかと心配になった。 (ヤバイ……って! 声だけでキちまったぜ) かく言う自分も結構キており、ほんの少し悪戯心がわき上がる。手は休めず、足の甲と裏、アキレス腱から脹ら脛にかけてマッサージを続け、ソファに足を投げ出したまま横たわるグラハムのつま先にキスを落とす。 「ダリル?」 不思議そうな声でダリルを見上げたグラハムの視線を感じたが、それを無視しダリルは身をかがめて、グラハムの足の中指を口に含んだ。 「んんっ……!バカ、なにする!」 抗議の声に応えず、舌先でくすぐるように指の裏や付け根を舐め、軽く歯を立てた。グラハムは、ぞくりと背筋に走った快感を堪えようと、自らの手で口を塞いで、声を抑える。 「あ……んっ」 舌の熱さと濡れた感触、じれったいような、もどかしいような感覚に小さくうめく。悦い場所に歯が当たるのか、時折身体をびくりと揺らした。 ダリルの愛撫はしばらく続き、グラハムはその間ずっと身体を震わせていた。唾液に濡れた水音がいやらしく響く。 「あれ?隊長」 小さく息継ぎをしたグラハムの変化をダリルがめざとく見つけ、声を掛けた。 「勃っちまいました?」 「誰のせいだと…!」 羞恥のためか目尻を赤く染めてグラハムが声を荒げる。 「はいはい、俺のせいですよね?」 真っ赤になって怒ったグラハムをあやすようにダリルは笑って彼の額に軽くキスした。 「……何のつもりだ? 私は子供ではないぞ!」 拗ねた口調のグラハムは、ダリルの髪を掴んで自分の方へ引き寄せると噛みつくように唇を重ねた。額へのキスが不満だったらしい。官能を引き起こし、次の行為へと誘うような口づけにダリルの雄も次第に固くなる。 「どうした、ダリル?」 ダリルの勃ち上がったモノにつま先で触れ、得意げに口元をゆがめた。布地の上から足先で押したり、擦ったりを繰り返せば、ダリルの口から小さい呻きが洩れる。それを満足そうに見やって、グラハムは不意に足を離し、何も動こうとはしない。 張り詰めた布地を押し上げ、はっきりと主張しているダリル自身は、その先の刺激を望んでいるというのに、グラハムは、それを知っていてわざと放置する。 「わかりましたよ。降参です」 「参ったか!」 「参りました」 ため息をついて両手をあげたダリルの降伏宣言にグラハムは満足げに頷いた。 「ならば、仕方がないな!」 ハーフパンツの隙間から直接手を差し入れ、昂ったダリル自身を掴み取り出すと、躊躇いもなく口にくわえた。幹を舐め上げ、舌先で先端をくすぐるようにつつき、吸い上げる。 「うっ……!」 時折、上目遣いにダリルの顔を見て反応を確認しているところが、小憎らしい。グラハムは、くぐもった声を洩らし、わざと見せつけるように舌を這わせる。 (うおっ、ヤベエって!) 視覚と聴覚、そして腰にダイレクトに響く感覚にダリルはぶるりと身体を震わせた。限界だ。 「出していいぞ」 それを見計らっていたかのようにグラハムがニヤリと笑う。ダリルは、グラハムの柔らかな金髪を掴み、自身に押しつけるようにして、腰を前後に動かす。苦しげにうめくグラハムの喉に自らの熱を吐き出した。 「…んぐ!」 飲み込み切れなかった精液で顎と胸元を汚したグラハムが、少し噎せながら口元を拭う。濡れた唇と潤んだ瞳が情欲を駆り立てる。ダリルは、グラハムの耳許に唇を寄せて囁く。 「もっと気持ちよくなりたいんですがね。あなたの中で」 「だから、そう最初から欲しいと言えばよいのだ」 まったく仕方がない奴だな、と苦笑したグラハムはダリルの膝の上に乗っかり、太い首に手を回す。 「だから、すみませんって」 ダリルは謝りながら、大きな掌でグラハムの背骨から腰骨を辿り、双丘の間に指を滑らせた。ダリルの上で膝立ちになったせいで、グラハムの胸の飾りが目の前にある。ピンク色のそれを口に含み歯をたてると、グラハムが甘い声を上げた。 ピクンと胸を反らせて、仰のいたグラハムの首筋が艶めかしい。白い首に噛み付きたくなる衝動を堪え、ダリルは唇と指の愛撫を繰り返す。 「あ……ぅん」 気持ちよさそうに目を閉じて、ダリルの手から与えられる快感を追う様子は、マッサージを受けていた時とそう変わらない。唯一違うこと言えば、自然と揺れ始めた腰だろうか。 「触って欲しいんですかい?」 先ほどの意趣返しだと意地悪く囁けば、目尻を朱に染めて身じろぎするグラハムが、ダリルを詰る。 「焦らすなっ」 「ここじゃ、なんなんで、場所変えますぜ?」 「いいから早く!」 我慢できないと言って身悶えるグラハムは、自分で慰めようと手を伸ばしたが、あっさりと封じられてしまう。 「ちょっとだけ我慢してくださいって」 「うわっ」 ダリルは、グラハムの腕を掴むと肩に担いですっくと立ち上がった。まるで、荷袋のような運び方で寝室へと連れて行く。 「私は荷物ではないぞ。おろせ!」 「はいはい、分かってますって」 ベッドの上にグラハムを下ろして、仰向けに横たえると、衣服を脱がせ、自分も裸になった。サイドボードからジェルのチューブを取り出し、掌に出したジェルをたっぷりと塗りつける。 「トロトロにしてあげますから」 ニヤリと唇を歪めて、体温で温んだジェルでグラハムを扱き、滲んだ先走りの液を舐め取る。 恥ずかしいほど水音を立てる己の性器にグラハムの快感は増すばかりだ。 「んんっ、んく」 浅く呼吸を継ぎ、鼻にかかった声を洩らすグラハムの痴態。股間に顔を埋めるダリルの髪を掴んだ手が震えている。 「ああっ!」 ふいにグラハムが大きく喘いだ。ダリルの指が、一番奥深いところに突き入れられたからだ。無骨で太い指が内壁を擦り上げ、少しずつ拡げていく。ジェルの滑りに助けられて、ゆるゆると蠢く指がもどかしい。早く決定的な刺激が欲しいのに、自分を組み敷く男はそれを与えてはくれない。 「ダリルッ、はやく…」 「もうちっと、我慢してくださいや」 挿入には少し慣らしが足りないと判断したダリルは、グラハムの懇願にすぐには頷かなかった。平均より巨きいと言われる自分のもので、愛する人の身体を傷つけたくはない。ゆっくりと、じっくりと時間を掛けて自然と身体が拓くまで解すつもりだった。 「んん、ふ、…う、あ……ふ…くっ」 前をしゃぶり、後ろを擦り上げ、快感にドロドロになるまで、ダリルの愛撫は続く。同時に前と後ろを嬲られて、グラハムは喘ぎ続けた。 「もう…、無理…だっ」 半分涙声で欲しいと訴えるグラハムの目尻には生理的な涙が浮かんでおり、ダリルは、ひどく虐めたい気持ちにさせられた。グラハムは意識してはいないのだろうが、男の嗜虐心を煽る媚態は、よりダリルを昂奮させた。 普段は鋭い光を放つグリーンアイズが情欲にまみれている。潤んだ瞳は、涙のせいかまるで森の中の泉が溢れ出しそうな不思議な光景だった。 目尻から溢れた滴を舌で舐め取り、瞼の上にキスをする。 「ダリル…」 「…入れますぜ」 無言で何度も頷くグラハムの仕草が可愛かった。ダリルは、グラハムの脚を抱え上げ、猛った男根を突き入れた。狭い内壁を大きくて固い肉茎が押し拡げる。ようやく待ち望んだものを受け入れて、グラハムの身体が一瞬硬直する。 「ふ…、あんっ!」 同時にきゅうっと内壁が締まり、ダリルが小さく呻いた。同時にダリルの腹に熱い飛沫が飛ぶ。前戯が長かったせいか、挿入しただけでグラハムは達してしまったようだ。 肩で息をするグラハムの眼は、射精の余韻に浸ってとろんでいる。 「まだ、ですぜ」 「…んっ、く」 ダリルは、力を失ったグラハムから自身を抜かずにバックから責める体位へと変えた。内壁を擦る感覚にグラハムが声を上げ、忙しなく呼吸を続ける。 「はぁ……はっ、……や」 呼吸が落ち着くまで待つつもりだったのだが、グラハムが身を捩り小さく抗う。 「これは、嫌だ……」 「え?」 枕を抱えるように四つん這いになったグラハムの腰を掴み、高く上げさせる。こちらの方が身体は楽なはずなのに、グラハムは嫌だと言うので、ダリルは首を傾げた。 「顔が見えないのは……いやだ」 小さく呟いたグラハムの言葉に、ダリルは全身がカッと熱くなるのを感じた。 「そんな……こと言って、本当にかわいい人ッスね!」 ダリルの性器がズクリと大きくなった。グラハムも体内の変化を感じ、怯えたように肩を竦ませた。 「あ、ん、馬鹿者!……また大きく……」 「すんません。もう止まらねえや」 「や……ああっ」 そのまま激しく抜き差しを繰り返し、腰を突き上げる。猥雑な音と体液をまき散らし、ひっきりなしにグラハムが喘ぐ。 「アッ、アッ……!」 「中、すげえ、熱い……」 突き込まれる勢いで前後に揺れるグラハムの身体。筋肉が張りつめ、筋に沿って流れる汗や体液がシーツに染みをつくる。つながった場所から融けていってしまいそうなほどの一体感と充溢感が二人を満たす。 「おかし……なるっ」 「俺も……っ!」 「……っ!」 ダリルが息を詰めたと同時に、グラハムは自分の中に熱い迸りを感じ、言葉もなく身を震わせた。 ダリルが身体を引くと、ズルリと男根が抜けた。その感触に身体を震わせてグラハムが崩れ落ちるように身体をベッドの上に沈めた。 グラハムは、枕に顔を埋めて無言のまま肩で息をしていたが、しばらくして、荒い吐息の中、小さく呟いた。 「……だと言った」 「はい?」 がばっと上半身を起こし、膝立ちになったダリルに足払いをかけて薙ぎ倒す。 「うおっ!?」 仰向けに転がったダリルの上に馬乗りになり、憤然とダリルの鼻先に指を突きつけて一喝した。 「嫌だと言った!」 つい先ほどまで、甘い声を上げていた上官は、ダリルを上から睨みつけ、厳しい声を浴びせた。 「あ、スンマセン。なんかもー止まんなくなっちまって」 頭をガシガシ掻いて、へらりと笑ったダリルは、拳をブルブルと震わせるグラハムの尻たぶを掴む。 「っ…!」 グラハムが息を詰める。 「ばっ、馬鹿者……そんなところを揉むな!」 「……私はっ……怒って…いるのだ」 「だから、スミマセンって。でも、隊長も悪いんですぜ?」 「……くっ……、どうして私が!」 「あんまり可愛いこと言って、俺を煽るからですぜ?」 「なっ! 煽られる方が……悪い!」 「あーハイハイ。俺が悪いんですよね」 苦笑混じりに答えると、指で蕾を撫でた。既にダリルを受け入れて緩んでいるそこへ第一間接を潜り込ませ、ぐるりと掻き回した。 「あっん!」 ドロリとした感触がダリルの指へ伝わり、自分が先ほど放った液が洩れ出すのがわかった。グラハムもその感触に身体を震わせている様子で、憎まれ口をとぎらせたまま堪えている。水音を立てて抜き差しを繰り返すと、グラハムはむずがるように首を振った。 「腰少し上げてください」 ダリルの言う通りに腰を上げ、自分で繋がる場所を探すように腰を揺らめかせた。 「じゃ、今度は、リクエスト通り、顔見ながらッスね」 「なっ……別にリクエストしたわけでは……!」 グラハムは、そう言いながらも自ら腰を落としていく。 「ア……」 満足げに吐息を洩らし、自ら屹立を飲み込んでいった。 グラハムの身体に自分の牡が飲み込まれていくのがよく見えて、ダリルは思わずわず唇を湿らせた。 「隊長が…俺のを喰ってくのがよく見えますぜ?」 「ああっ……馬鹿なことを…言うなっ」 「ホラ、もう全部飲み込んじまった。根本までギチギチだ」」 「ううっ…」 騎乗位で繋がったおかげで、お互いの表情を余すところなく見ることができた。ダリルの言葉に敏感に反応を示すグラハムは、気恥ずかしいのか目を閉じたまま感覚だけを追っている。 「ちゃんと目を開けてくださいよ、隊長がしたいって言ったんですぜ」 「うるさいっ……う…んっ!」 少し腰を揺さぶっただけで、グラハムは堪えられないように、上半身を傾け、ダリルの胸に手をついて身体を支えた。 快感に潤む緑色の瞳がダリルを見下ろしている。 薄く開く濡れた唇、上気する頬、乱れた前髪から覗くグリーンアイズ。 (うお、絶景……) 下からゆるく突き上げてやると、グラハムも同調して腰を動かす。ダリルは首を伸ばし、グラハムに口づけ、唇を舐め、舌を吸う。 グラハムは気持ちよさそうに揺さぶられながら、ダリルの頬に手を伸ばした。頬を両手の平で包み深い口づけに応えるように舌を絡める。 「ダリル……」 じっと見つめられて、名を呼ばれると背中がゾクッとする。こんなグラハムの顔を知っているのは自分だけだと思うとそれが言いようもなくダリルの気持ちを満足させた。唯一気がかりなのは、技術顧問との仲が良すぎるというただ一点のみだ。 ダリルは、グラハムの頬をの撫で、自分の名を紡ぐその唇をなぞった。 グラハムの顔が切なげに歪む。その表情にドキリとした。 「…好きだ」 唐突に告げられたグラハムの言葉。 動揺しまくったのは、それを言われた男だ。 「そりゃ……不意打ち…ですって!」 ダリルの下肢に急激に熱が集中して、あっという間に弾けた。 ◇ その後、何度も抱き合い、グラハムは気を失うように眠りについた。 ダリルは後始末を終えると、グラハムの寝顔をしばらく眺める。 (相変わらず寝顔は子供みたいだな) くせのある金髪が汗で額に貼り付いている。髪を掻き上げてやりながら、首にかけたタオルで汗を拭ってやった。その感触にグラハムはもそりと寝返りを打ったが目を覚ます気配はない。 剥き出しになった白い背中に口づけを一つ落として、シャワーを浴びにバスルームへ行った。 「……いっ!」 熱い湯にあたった背中がぴりっと痺れた。 鏡に背を映して見れば、案の定、左右に4本ずつみみず腫れのような痕が残っている。 「…やられた」 肩胛骨の下辺り、左右にくっきり残った爪の痕。 グラハムの足の爪は、ダリルが丁寧すぎるくらい気を遣って切ったが、手の爪のことはすっかり忘れていた。 情事の痕。 グラハムが快感に喘ぎながらダリルの背にすがりつき爪を立てた痕だ。 お互いに相手の身体を貪ることに夢中で、気付いていなかったようだ。情事の痕というと響きとしては色っぽいが、MSWADのトップファイターの握力で掴まれたら、痕が残るのは無理からぬ事だろう。この程度で済んだのは、幸運なことだ。 「ま、これも勲章ってやつだな」 濡れた髪をガシガシとタオルで拭いて、小さく嘆息したダリルだが、口元は笑みの形に緩んでいた。 「今度は、手の方もやらんとなぁ」 end 『Nail clippers』2008.08.24/+09.17 2008夏のインテで無料配布したSSペーパーに若干加筆しました。 いやもうただやってるだけなカンジです。なし崩し的に流されまくるハム。あんあんいわせたかっただけだよ! 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