しなやかな身体。 細い腰。 やわらかな髪。 いっそ、この手で…………。 +++ 夢 +++ |
暴力的で暗い欲望がこの身を満たす。 白く、気高い花を、 自分だけが手折れるという優越感にひたる時、 私は、自分という者の存在の罪悪を痛感する。 それと同時にこの上ない悦びを。 孤高の人。 そばに寄り添うことができるならば どれほどか、満ち足りたことだろう。 彼を抱く時、 そのあえかなる吐息を肌で感じて 悲鳴のような喘ぎを耳にして 互いの鼓動が重なり合う。 その恍惚と その後にくるであろう後悔と。 自分は、どちらを望むのか。 夢。 夢の中で彼を陵辱した。 自分の身体の下で悶える白い肌。 抵抗する腕を絡め取り、 拒絶の言葉を唇で塞ぎ、 彼を無理矢理、快楽の頂へと導いた。 肌のぬくもりを、 吐息の熱さを 記憶に留めたかった。 だが、すべては陽炎のように曖昧で、 霧に閉ざされたように 惑うほどの幻。 届くはずのない手を伸ばすだけ伸ばして―――。 そして、夢だと知る。 目が覚めて、寝汗に湿る髪を掻き上げて そして自覚する。 これは夢だ。 夢でしかない。 その残酷な現実に。 だが、夢ならば、 夢であるならば 夢の中でだけは 愛し合うこともできたはず。 なのに………無理矢理抱く夢しか見られない。 それが自分の本当の心。 彼を辱しめ 血と汗と汚濁にまみれさせたい。 貫かれて身を捩り、 与えられた律動に翻弄され、 頬を涙で濡らし、苦痛に歪む顔に 悦びを見いだすその瞬間を見たい。 一方で 汚されても、辱められても、 それでも強く、美しくあってほしいという 勝手な願望。 矛盾した想い。 浅ましく、醜い願望。 だが、自分の最も望むもの。 朝日が昇り、また一日が始まる。 涼やかな空気を身にまとわせ、 白い制服の裾を翻し、颯爽と歩く彼。 誰もが彼の美しさに振り返る。 彼は英雄。 誇り高く、気高い。 その心のままに。 そして私は、今日もまた彼と会う。 何食わぬ顔をして。 頭の中で彼を欲望のままに犯しておきながら 私は何も動じることはないだろう。 いつもの通り おだやかな笑顔で迎えるだろう。 偽りの笑顔 偽りの心 偽りの―――? だから それに安心しないでくれ。 騙されないでくれ。 いつでも私を疑い、怪しみ、 言葉の裏の意味を探ってくれ。 不用意に近づかないでくれ。 そして、 これ以上、私を立ち入らせないでくれ。 私を―――決して信頼などしないでくれ。 私は愚かな人間だから きっと、それ以上を望んでしまう。 夢を見るだけでは物足りなくなってしまう。 そうすれば、私たちは 私たちだけの関係を保つことができる。 距てられたこの距離が 私の理性。 あなたを守る唯一の「枷」。 END ギル……なんて危険な男。(クラリ) ギル→ラウ。一方通行な感じです。 かなりいっぱいいっぱいです。 【裏】にするほどの内容でもなかったんですが、 あまりにギルが暗いので、そういう意味でこっちにしました。 |