□ □  視線の先  □ □


Side * Rey  












やさしい琥珀色の眸が俺を見ている。



ギルは俺を見つめるとき、どこか懐かしいものを見るような目をする。

それは、俺があの人に似ているから?

はじめはそれが嬉しかった。
あの人に似ていることが。



でも
いつの頃からか、その眼差しを受けとめる時、ふと不安になった。

「誰を見ているの?」

そう訊いた俺にギルは、一瞬訝しげな表情をして、その後何かに気付いたように口を開きかけた。
なんて言おうとしたのかわからなかったけれど。

そして、俺の心をとろかすようにやさしく微笑むんだ。

「レイを見ているよ」

俺の胸はちくりと痛む。
でも、俺は、その言葉にだまされた振りをしてあげた。




ギルが誰を見ているのか知っていたけど、たまに叫びたくなる。

―――俺を見て!
―――ここにいる俺をちゃんと見て。

でも、それは自分の我が儘だし、ギルを悲しませるから言わないけれど。

棘は心に刺さったまま。
苦しくなることがある。

でも、それ以上にあの人の存在を感じられるから嬉しいと思うこともある。


俺は、おかしいんだ。
辛いのに、切ないのに、涙が出るくらい嬉しいと感じてしまう。

おかしい。

どこからがあの人で、どこからが自分なのかわからなくなることがある。

こんなに違うのに。


違うことが悲しい。
そして、違うことが嬉しい。



ギルが微笑む。



あなたが、微笑みかけているのは誰?

あなたが今、触れて抱きしめているのは?








あなたは―――

―――誰を見ているの?












End 2005.0529