| 【R18】 ◇ 寝台の紗の向こうに揺らぐ人影。 柔らかな唇が男の傷跡に触れる。 鼻先を掠め、頬へと辿り、最後に男の唇を己のそれで塞いだ。 舌を絡め、相手を煽り誘うように深くなる口づけに男が応える。 既に衣服を取り払われて、男の眼下に白い肌が惜しげもなく晒されていた。 「ダールトン……手加減などするなよ?」 囁きは、どこか笑みを含んでいた。 「殿下……」 白い身体を追い上げるのは、節くれ立った大きく熱い手だ。 「……っ」 中心を捉えられて、息を詰めたシュナイゼルの肢体を男の手が徐々に開いていく。 胸の赤い印を片手で弄りながら、昂ぶりを緩急つけて扱いた。滑った感触に相手が確かに感じていることを知る。 胸元に落とした口づけは、徐々に下腹部へと下りていき、男は、皇子の中心を熱い口中に収めた。 「く……」 びくりと跳ねた肢体を押さえつけるように男の手が白い腰を掴む。 身動きが取れなくなって浅い息を継ぐシュナイゼルの手が、自身の脚の間に顔を埋める男の髪を掴む。男の髪に絡む長い指が、時折、震えた。 その手は、男の行為を阻むものではなく、かといってその先を促すものでもなく、ただ縋るものを求めて伸ばされただけのようにも思えた。 「随分と……丁寧だな……」 幾分頬を上気させたシュナイゼルが、奉仕する男の姿にニヤリと口角を上げた。 その言葉に男が昂ぶりを銜えたまま目だけを上げて、皇子の表情を盗み見る。 まだ、余裕のありそうなその表情が崩れるところが見たくなって、濡らした指を後庭につぷりと突き入れた。 「……ッ!」 シュナイゼルが顔を顰めて痛みに耐える。 体内で蠢く指が増やされて、抜き差しが繰り返された。 快感を引き出す場所を掠めるたびに、痛みは甘い痺れに変わっていく。 前と後ろを同時に嬲られて、シュナイゼルの思考は耐え難い快楽と苦痛の合間で惑う。 「ダールトン……!」 シュナイゼルが解放を望むように男に向かって手を伸ばし、男の顔に斜めに走る深い傷跡に指を這わせた。 それが合図となった。 淡い金髪が乱れ、シーツの上に散らばっていた。 うっすらと額に汗を浮かべ、金糸が首筋に絡むように貼り付く。 慣れた仕草で指を受け入れた皇子だが、挿入時の痛みに慣れることはないらしい。 明らかに男と寝るのは初めてではないその態度を、ダールトンは不思議に思うこともなく、ただ、苦しそうに寄せられた眉根に欲情した。 どんなに相手の身体に触れるまで躊躇っていても、一度繋がってしまえば、後は本能のままに自身の欲望を満たすだけだ。そして、相手が満たされるまで付き合うしかない。 この人相手に感情的になるのは危険だと男は感じていた。 ――――虜になる。 そう、一度でも、同情や恋情などを抱いたら、自分はもう抜け出せなくなることを知っていた。 だが――――― (もはや、遅い……か) 彼の無情とも言える要求を呑んだからこそ、自分の身体の下には今、シュナイゼルがいる。 コーネリアを守るためにダールトンは、シュナイゼルをここに足止めにする。 ほんの僅かな心の破綻が、取り返しのつかない未来を呼び起こさないように……。 男は、相手の肢体を揺さぶるように自身を奥深くまで突き入れた。 濡れた水音が繋がった部分から洩れ、互いの欲情を煽る。 きつい締め付けに男は満足げに息を吐く。 仰け反った白い喉元に舌を這わせ、腰を突き上げた。 「……ふっ……んっ……んっ」 女のように大きく声を上げて喘ぐことはないが、堪えきれない快感が小さな苦鳴となって洩れる。 薄く開いた唇から零れるのは、乱れた呼吸。 乾いた唇を時折舌で濡らす仕草が扇情的だ。確かに意図的に男を煽っている。 「……女性をっ……抱く時も……こんなに情熱的なのか?」 荒い吐息の中で囁かれた。 「まさか……、女を抱く時は、これ以上ないほど優しく可愛がりますよ。――――貴方もやさしく抱かれるのがお好みか?」 揶揄するように甘い口調で返した。 「冗談……手加減するつもりかい?……それこそ遠慮しよう……んっ」 強気な言葉は、口調に反して甘い吐息混じりだ。 「なるほど……酷くされるのが……よろしいと?」 「ふっ……く、……好きにしろ。――――所詮……手に……入らないのは分かっている……」 最後に小さく呟いた言葉に男は戸惑う。 「――――?」 縋るところを求めて、男の背に回されたシュナイゼルの手が、爪を立てた。 快楽の中のほんの小さな痛みだが、ダールトンには、おそらく血の滲むそこが二つ目の心臓のように脈打ち、疼くように感じられた。 「戯れ言だ……」 自嘲するような言葉に反して、シュナイゼルが美しく笑う。 その表情に男は胸を衝かれた。 自分の忠誠もこの命もすべてコーネリアに捧げている。だが、彼はどうしてこういう時に笑うのか。そして、どうして自分はその笑顔に胸が締め付けられるような痛みを覚えるのか。 混乱する頭の中で、ダールトンは答えを知っているはずなのに、それから目を背けようとしていることに自分自身気付いていた。 そして、自分が逃げている自覚があることをシュナイゼルが知っていることも―――――。 猛った欲望が最奥を突き、シュナイゼルの背が弓のように撓った。 声にならない悲鳴が洩れる。 攣りそうな程、張りつめた脚の筋肉が男の動きに合わせて前後に揺れた。 獣のようにただ激しく相手を貪るその行為は、何度目かの頂点を迎え、日付が変わっても続いた。 end 2007/03/23 情事の翌朝、ぐったりしている殿下も色っぽいですが、侍従が起こしに来たときには、もうシャキっとしてそう。身体は辛くても、下の者にそんな姿は見せないプライドが殿下らしいかも。夜はふしだらな生活していても、陽が昇れば禁欲的な生活にしっかり切り替える……っていうのが真の皇族っぽくていいなあ。 でも、寝起きの悪い殿下にも萌えますよ! 起こしに行く人は役得だと思う。 いつも誰が起こしに行くかでジャンケンですよ! だって、殿下の寝顔ですよ!寝顔! うわー拝みたい! ちなみに、ダールトンは朝まではいないです。殿下は、ダルとは一緒に眠ることはなさそう。 ロイドとは眠っちゃうかなー………。両方とも寝起き悪そうだから大変だ! いや、もう公認か。 あと、どに設定では、ダルは殿下の身体に、所有印とかの痕を残さないことにしてあります。 普段は、豪快なくせにこういうところは律儀な男かもしれません。 一方、ロイドは、わざわざ、人様の目に触れるところに残していきそうですね!(笑) |