※ネタバレ含む ※R16 ※ダールトン×ギルフォード / ダールトン+コーネリア ++身代わり++ コーネリアの寝室から出てきた男の姿を見咎めて、ギルフォードが眼鏡の奥で片眉を上げた。 「騎士たる者、女性の寝室に入るとは……!」 眉を顰めたギルフォードに歩み寄って、気軽に肩を叩いたのは、コーネリアの親衛隊を務めるダールトンだ。 「野暮だぞ」 忍び笑いを洩らしたダールトンを睨み、ギルフォードが低い声で言った。 「ご結婚前の姫様に妙な噂でも立ったら貴公はどうするつもりだ!?」 相手の剣呑な眼差しを受け流し、ダールトンが肩をすくめた。 「なんだ、妬いているのか」 「馬鹿なことを……!」 ダールトンが、こうして茶化す時は、本当のことを何も言わない男だとギルフォードは知っていた。 「お前が気にするようなことは何もない。姫様…いや、総督のことが信じられないか」 「それこそ騎士に対する侮辱だ」 「だったら、黙っていろ。それとも黙らせて欲しいか?」 にやり――――と口元を歪めた男に、ギルフォードは怒りも忘れ、呆れたように溜息をついた。 ◇ こうしてこの男と身体を繋ぐのは何度目のことだろうか。 ダールトンの腰に跨った状態で貫かれているギルフォードは大きく喘いでいた。 「自分で動いてみろ」 呼吸を整える間もなく、男からそう要求された。 「まだっ……待て、と」 せめて、少し馴染むのを待って欲しかったのだが、ダールトンはギルフォードの願いを聞き入れることなく、腰に手を掛けると揺さぶった。 「んっ……くぅ」 途中まで挿入されていた男の楔が振動でずるりと奥まで届いて、ギルフォードが呻く。 「おっ、全部入ったか」 「馬鹿っ……者! あっ……」 きつい締め付けにダールトンが満足そうに口角を上げ、身体を撓らせたギルフォードを見上げた。 繋がった場所からは粘着質な水音が聞こえ、苦しげに身じろぐギルフォードの頬にダールトンは手を伸ばした。 「相変わらず、きついな。……辛いなら力抜いておけよ」 無骨な指が頬を優しく撫で上げ、眉間に寄せられた皺を指で辿る。 時々、見せる優しさや気遣いがギルフォードには腹立たしくもある。それだけ相手が余裕を持っていることが同じ男として気にくわない。 きちんと結った髪はすでに乱れ、ほどけかけた髪をまさぐられた。大きな手が髪を梳き、項を辿るたびに、ぞくりと身のうちから湧き上がる感覚。 ギルフォードは唇をきつく噛み、否応なく身体を支配される快感から逃れようとした。だが、抗うことなど無駄だと思い知るまで、それほどかからないことも知っていた。 男の与える行為に従順に反応し、自らも快楽を追い始める。 「ぅ……くっ……」 ギルフォードが自ら身体を揺らめかせて、悦い場所を探し始めた。 ダールトンもギルフォードの身体の変化を敏感に感じ取り、追い上げる手を早めた。 「腰……揺れてるぞ」 「うるさいっ……!」 揶揄するようなダールトンの言葉にギルフォードが苛立ち、意趣返しに男の楔を締め上げた。 「うっ……く……痛いじゃないか」 「は!……貴公の自業自得だろう」 「まだ、そんな余裕が残っているのか」 「貴公こそ、その余裕がいつまで続くか見物だな!」 吐き捨てた瞬間、強く腰を突き上げられた。 「あうっ……!」 思わず洩れてしまった喘ぎにギルフォードが頬を朱に染めた。 「悦い声だ」 にやりといやらしく口元を緩めた男に腹を立てる余裕もなく、繋がったままベッドに押し倒された。圧し掛かる男の重みと共に、内部を抉られ、掻き回され、奥の奥まで突かれた。 「あっ!……うっ……っんん!」 深い傷が刻まれた顔が近づいてきて、ギルフォードの口を塞ぎ、喘ぎも吐息も全て口づけに飲み込まれた。 ◇ 隣には、情交の果てに眠りについたギルフォードがいた。 ダールトンは、ベッドの上で上半身を起こし、ギルフォードの乱れた長い髪に指を絡めた。 コーネリアの騎士であり、常にクールで、文武において有能なギルフォードだが、自分の前では存外可愛い一面を見せるところがダールトンは気に入っている。 何よりも、コーネリアを第一に考え、命を掛けて姫を守ろうとする騎士だということに信頼を置いていた。知力・実力ともに秀でた人物に目をかけたくなるのは、同じ武人としての性かも知れない。 まだ、当分、この場所を譲る気はないが、万が一の時、後を託せる男がいるということは心強い。それが、気心の知れた相手なら尚更だった。 ダールトンは、そっと起きあがると、ガウンを羽織り窓辺に立った。ブリタニア本国で見る月も、ここエリア11で見る月も何一つ変わらない。 自分の立つ場所は、常にコーネリアの傍であればよい。 全ては、敬愛するコーネリアのために……。 彼女の望みを叶えるために、自分はここにいるのだ。 だからこそ、先ほどのコーネリアの憂いを帯びた瞳が忘れられない。 エリア11の総督としての任務の他に、彼女が憂いていること。 マリアンヌ皇妃殺害の真実。 それは、自国の闇を追求することに他ならない。 貴族達の利権が絡む勢力争いの渦中にコーネリア自身が既にいることを承知の上で、ダールトンに頼んだこと。 総督という公的な立場での発言ではないという証に、コーネリアはダールトンを自室に呼び出した。 『すまんな、ダールトン』 幾分、くつろいだ姿ではあるものの、軍装を解いて平服のコーネリアの姿を見るのは久しぶりだった。 『いえ、姫様をお守りし、姫様の手足となることが我が喜びです』 膝をつき、深く頭を垂れたダールトンに立ち上がるよう促したコーネリアの瞳は、いつになく力無く憂いに満ちていた。 コーネリアは『総督』ではなく、『姫様』と呼び掛けたダールトンの思いやりに、ふっと口元を緩ませた。 『7年前、マリアンヌ皇妃が亡くなられた時、まだ私も若く、あの事件の裏に潜む真実に気付かなかった。これは……皇妃が騎士侯だった頃から彼女を知るお前にしか頼めない』 『しかし、姫様、なぜ、今なのですか?』 『先日、クロヴィスが描いた絵を見た。マリアンヌ皇妃とルルーシュ、そしてナナリーの三人の絵だ。強く、美しい皇妃は私の憧れでもあった……感傷かも知れん。だが、知りたい。それが、亡き彼らの弔いになるのではないかと……な』 『後悔しておいでか?』 『後悔……ああ、そうかもしれない。あの時、力を持たなかった私には何もしてやれなかったからな。だが、今なら……』 『承知しました』 コーネリアが全てを言う前にダールトンは頷いた。穏やかに微笑みかけ、コーネリアの手を取った。 『いずれ、ギルフォードには私から話そう。それまでは内密に動いてくれ』 親衛隊の双璧であるギルフォードにも内密にしろという言葉にダールトンは、深く頷き、恭しくコーネリアの手の甲に口づけた。 『……我が君』 それは、幼い頃からコーネリアとダールトンの間で何度も繰り返されてきた誓いだった。 唯一、触れることが許されるのが、この一瞬だということを男は、知っていた。 悲しいほどに。 end ダールトン×ギルフォードで、ダールトン×コーネリアな感じでしょうか。とにかく初書きなのでそれぞれの性格設定が上手くできていません。 とにかくコーネリア様激ラブなダールトンが書きたかったので。 コーネリアのためなら、ギルフォードの男の純情も平気で踏みにじりそう(笑)。 2007/03/07 back |